teke teke my life 読書記録置き場

teke teke my life別室その2。漫画や小説を読んだ感想の保管庫。

スキップとローファー8巻の感想。氏家くんの評価が爆上がりなんやが…(ネタバレあり)

スキップとローファー8巻の感想をそういえば書いていなかったので、感想をだらだらと記録しておきます。

いやー、相変わらず期待値を大幅に超えてきましたわ。まさか氏家くんがあんなにちゃんと処理されるとは…。

スキップとローファー8(高松美咲)

やっぱり自分で誤動作したくせに感情ぐちゃぐちゃになってる志摩くんに笑う

想定通りの悶々を抱える志摩くん

7巻のラストで見事な誤動作で「付き合っちゃう?」発言をした志摩くんですが、想定通り「そこまでの覚悟決まってないのにキープしちゃった」「利己的な自分でちゃった」みたいな不要な悩みに陥って自爆していきました。

自分の感情がわからないまま、近づきすぎてストレスを感じて、でも、手放したら手放したで実際は欲しいものだったので、澱のような後悔は胸に残って…と感情ぐちゃぐちゃ状態になってる志摩くん、それでこそ志摩くんや…って感じで良いですね。

120%以上解釈一致の志摩くんです。これだよこれ。

思ったよりもあっさりと終わった1回目の「お付き合い」

しかし、これどうすんだ?と7巻の終わりでは思っていましたが、普通に1巻できれいに切って、リセットさせるという方向でしたね。
まあ、ここで二人をうまい方向に誘導しちゃうと、話が終わってしまうのはそうなのでやむなし…。

志摩くんの母、学園祭であれだけ言われるのもわかる毒親感

意外とお母さん、強烈だった

志摩くんの母、学園祭編で子役友達の梨々華からめちゃくちゃに責められていた割には、ここまでそんなに志摩くんに対してそこまでのことをやった感はあまり描かれていませんでした。

しかし、今回の8巻の志摩くん回想からすると、まあままかなりの毒親感がありましたね…。
いまさらながら「そら梨々華からあれぐらい言われるし、なじられるのもわかるわ…」となりました。

学園祭編での梨々華の動きに今更の納得

学園祭編だと、読者から見ると梨々華がどちらかというとめちゃくちゃ言っている感じの雰囲気あったのですが、そりゃあれぐらい言われても仕方がないですわね。

また、学園祭のイベントで色々あった後でも、梨々華も含めたメンバーで遊びに行ったりはするよな…という納得感がありました。
あれはどっちかというと、友人からすれば、友達を守る気持ちの上では正統な訴えだったわけですか…。その辺りのところもあり、間接的に、梨々華の評価がかなり回復しましたね。

そら、志摩くんのことが好きなら志摩くん母は敵やろな…。なんかわけわからん女と思っててすまんかった。

クリスが良い友達すぎて相変わらず読者の心をつかんでくる

クリスが相変わらずいいやつすぎる

そして、志摩くん最大の理解者であるクリスくんは8巻でも相変わらずの親友感で読者を安心させてくれます。
お前がいるなら志摩くんは大丈夫そう、と思わせられる安定感が良いですわ。

クリスの的確なツッコミが良いね

志摩くん、巻数が進むにつれてミステリアスな側面が薄れてアレな側面が垣間見えてきているわけですが、クリスが概ね読者が思っている「志摩くんお前さぁ…」というところを漏らさずにツッコんでくれるのでいいですよね。

これ、クリスと会わずに一人悶々としている志摩くんを見せつけられ続けると、読者としてはシマスケいい加減にしろよ…という気持ちが芽生えてきそうです。
そんな中、クリスがちゃんとツッコみを入れてくれるおかげで、かなり落ち着いた気持ちで志摩くんを見守っていられます。ありがたい。

問題キャラと思われた氏家君の評価がうなぎのぼりなんやが…

尚、7巻の新キャラの氏家くんですが、7巻の印象とは裏腹に、8巻で最も評価を上げてきました。8巻のメインキャラは氏家くんでしたわ。
7巻でなんやこのキャラと思っていたのに、8巻で氏家くんの心情が開示されるとともに、荒療治すぎるとはいえ、行動する姿勢に「えらい子や…」となってしまいました。

説明されると「あー!!そういうキャラかー!!!」となりますし、裏表紙の4コマ漫画で紅茶の正しい淹れ方にイキる氏家くんもやりそうな範囲で愛嬌があって良いですね。
育ちは良さそうだし、凝りそうだもんなぁ…。そして、それを正しくキャッキャするみつみと生徒会女子の人間性の真っ当さよ…。これぞスキップとローファー。幸福な世界よ。

特別な何者ではないことの自覚、ありそうでなかった感情描写でしたね

しかし、氏家くんの焦りの気持ち、スキップとローファーに出てきそうな感情でこれまで出て来てなかった感情なので、すごく良かったですね。とてもよくわかります。

1万人の中の上位10%は1000人だけど、その上位10%は100人で、さらにその上位10%は10人なんですよね…。
そして、上にいけばいくほど、文武両道で顔も良いし、コミュニケーションも得意な連中が増えていく、という。実感としてマジでわかる。

そういう世界の中で、上に行けばいくほど、順位付けで自尊心を保っていると、そのうち自尊心を維持できなくなってきてしまうんですよね。
もしくは、自尊心を維持するために、自分のものの見方をねじってしまうというか。みつみを下に見ようとした心情なんかはまさにそれです。
でも、大抵の場合、人格がねじれている人の方が少ないし、実際に会ってみるとまっすぐだったりするんですよね…。

荒療治すぎるけど、行動できる氏家くん偉すぎるんやが

でも、そんななかで、氏家くんは自分の今の立ち位置や、自分が出来ないことを見つめなおすために、(かなりの荒療治とはいえ)チャレンジしたのは、とてもえらいです。これは中々真似できない。実際に自分を見つめなおすチャンスを得たわけですし…。
(まあ、周囲も結構な迷惑を受けたのは、ともかくとして)

ただの問題児系キャラで、迷惑行動で志摩くんへの当て馬に使われるのかなとか想像していた自分が浅はかすぎました。ごめん、氏家くん…。めちゃめちゃ好きなキャラになりましたわ…。

兼近先輩は意外と出てこなかったが、ピンポイントの先輩風がやはり印象的でよき…

相変わらず理想の先輩ムーブを続ける兼近先輩、最高です。

ぼくの推しキャラの兼近先輩は2回程度の登場でしたが、どちらも兼近先輩、さっすがー!!という感じの先輩っぽさで良かったですね。

志摩くんに対する「志摩くんは猪突猛進タイプの人間を過大評価してる気がする。きみが前に出ることはな~んにも変なことじゃないって覚えておいてくれよ。」とか、人の人生を変えちゃう言葉じゃないですか。マジで良い先輩なんだよな…兼近先輩。

こんなふうに人と接せられるようになりたいすね

加えて、みつみが生徒会長に就任したときも、「おっ、おはよう生徒会長!」ですよ。この自然な人の持ち上げ方もいいですよね…。
マジで先輩検定100点でしょ、兼近先輩…。

兼近先輩のように、正しく周囲を捉えて、ナチュラルにチアーアップしていく姿、見習いたいものです。兼近先輩がいるだけで、チームの生産性2倍になる気がしますよ。

だから、学内でもあれだけ変わり者扱いされてるのに、ちゃんと演劇部の中で部長をやっていて、友人がちゃんといるんやろな…。
スキップとローファー世界の中には兼近先輩に救われた人物が大量に良そうな気がしますわ。

全体

結構意外性のある展開が多かった印象

8巻でみつみと志摩くんがなんのかんのあって上手くいく方向に流れるのかな、と思ったら、みつみと志摩くんそれぞれの課題が提示されて、仕切り直しになった巻でした。

志摩くんの気持ちが学園祭編ぶりに丁寧に描かれた巻で、学園祭編でぬぐいきれなかった志摩くんのもう一段の心を開くハードルの存在が明示されたので、当面のところはそれをどう解消するか、というところに焦点が当たるんですかね。

9巻の展開が楽しみである

また、9巻では今回深堀りされた氏家くんと同じ7巻からの新キャラ八坂さんが深堀りされて、みつみと互いに良い方向に行くような話が展開されそうな感じもあり、相変わらず9巻での展開が楽しみで仕方がないところです。

(しかし、八坂さんもそうなのですが「家庭環境に問題がある女子」を示すのに割れた液晶のスマホを使っているという特徴を与えるの、すっかり定番化しましたね…。)