食の図書館シリーズの「ジャガイモの歴史」と「トウモロコシの歴史」を読んだりしていました。
いずれも、小麦と米に次ぐ主食ポジションの食べ物のわりに、原産地がアメリカ大陸なので、意外と歴史が浅いですね(知ってた)。
どちらかといえば、トウモロコシのほうが日本人的にはイメージが薄いので、知らないことが多くて面白いかもしれないです。
「トウモロコシの歴史」
日本のトウモロコシの印象と思ったよりも違って面白い
アメリカで栽培されているトウモロコシのほとんどはデントコーン(粒がへこんでる堅いやつ)で食用ではなく畜産飼料や工業用とされている話や、作付面積あたりの収穫効率が最高クラスに良いとか、あー、そうだったのね、という感じ。
どうしても、夏に食べるスイートコーンのイメージとか、ポップコーンのイメージが先行してしまい、そもそもトウモロコシの用途は極めて幅広だというのは、食べているだけだとイメージがしづらいところです。
(アフリカ大陸では95%が食糧に回るみたいですが)
なんとなく、アメリカでめっちゃ栽培してるよなーという印象がある反面、アメリカ人ってそんなにトウモロコシ食ってねぇよなーとか、トウモロコシ主食の文化も少ないよなーという印象があるのは、単純に人が食ってねぇから、というだけだったというオチ。
黄色いコーンは食用ではないと看做す文化もあるらしい
あと、中央アメリカとアフリカの一部では、人が食うコーンは白、黄色は家畜用みたいな文化があるらしく、アフリカ(ザンビア?ボツワナ?)で食糧難の際に食糧支援として黄色いコーンを送ったら「侮辱されている」と受け止められ、コーンの倉庫を焼く暴動が起きたという話が載っていてすげぇ笑いました。
まあ、反対の立場からしたら、確かに怒るかもしれないですね。
「ジャガイモの歴史」
食料としてのジャガイモのパワーが強くて面白い
ジャガイモの栽培のしやすさ(というよりは、肥沃でない寒い土地でも栽培可能な特徴)によって、世界的に食糧事情が改善されたのは割とよく知られているところな気はしますが、思ったよりも世界に影響を与えている食物で、面白いですね。
ヨーロッパなどでの人口爆発につながった点だけでなく、ジャガイモという単一作物に食糧を依存することによって発生したアイルランド飢饉の悲劇(まあ、イングランドとの問題という政治的なものが主だけど)とそこからつながるアメリカ(アイルランド移民が結構多い)とイギリスの確執などは、かなり面白いです。
揚げるための生産がメインになっているのは想像通りではある
ジャガイモはファストフードが全世界に広まるにつれて、一番作られているジャガイモもポテトフライ用の品種、一番食べられている方法もポテトフライになってしまっているのは、体感的にはそうとはいえ、驚きがなくはなかったですね。
しかも、次点がポテトチップス用の品種という。まあ、それも意外性はないですが…。
そのため、ジャガイモ≒不健康な食い物とみられているそうですが、まあ、そうでなくても、ジャガイモを食べるときには割と脂っぽいものを組み合わせがちなので、やむなしです。
ジャガイモ自体がいかに栄養面で健康的な食い物とはいっても、美味しく食べようとすると不健康になってしまうのであれば、不健康な食い物認定されてもしかたがないのでは…って感じですね。
新世界産の食い物、なんでもかんでも性欲に結びつくのは笑う
しかし、トウモロコシもジャガイモもそうなのだけれど、とりあえず新世界からやってきた新しい食い物には「催淫効果」があるという噂が立つのは、性欲ってすごいなーと思わざるを得ないですわね。
いつの時代もみんな欲に正直で結構なことですよ。まあ、確かに「催淫効果がある」と言われれば気にはなるし、そりゃそういう売り込みは効果的だわな…。