teke teke my life 読書記録置き場

teke teke my life別室その2。漫画や小説を読んだ感想の保管庫。

「銀平飯科帳」はやわらかい「らーめん才遊記」で良き

先日から「らーめん才遊記」の作者が描いている「銀平飯科帳」を読んでいましたが、味付けがちょうど良くて面白いすね、という感想記事です。
(残念なことにより話題性のあるラーメンハゲ漫画にシフトして休載になってしまったようですが…まあやむなしかな…)

作品の概要

江戸時代タイムスリップもの

現代の神田で流行らない居酒屋を営む主人公銀次が、ひょんなことから江戸時代と現代を行き来できる井戸を発見し、江戸時代で色々な問題を解決しつつ、居酒屋料理のヒントを得ていくストーリーです。

各話が江戸問題解決で終わりではなく、現代の創作料理に活かして終わりなのがテンポが良いです。

江戸時代と現代を行き来できる設定の妙

異世界転生の亜種ではあるのですが、行ったきりではなく、あくまで主の生活は現代、というのが良いですね。

主人公が江戸に生活の主軸を移すとどうしても主題である料理以外の要素が増えてきますし、時代的な制限から料理や各話の展開のパターンも限られてしまいます。
その点、ほぼ自由に行き来が可能である設定にしたのは構造的に強いです。

あんな井戸があったらすぐにバレるやろ…とか、毎回不法侵入では…とかまあ色んなツッコミはあるにはありますが、それはそれで些末なので無視できます。

感想というか印象

相棒の平蔵さんがマジで可愛い

まずはこれですね。江戸時代パートの相棒役に訳あって男装している「平蔵さん」がいるのですが、平蔵さんが本当に可愛いんですよね。
嫌なところのないしっかりものタイプのキャラクタなのですが、キャラの雰囲気も銀次を信頼しきっている感じもすごくいいんですよ…。
(らーめん才遊記シリーズになんでこの可愛さのキャラを出せないの?と思うぐらい可愛いです。至高の女房キャラですね…。すばらしい。)

主人公は平蔵さんが女性であることを知らないのもちょっとしたスパイスになっていて、時々ちょっとしたトキメキパートがあるのもサービスとして良いですね。

まあ、流石に声や体格の問題もあるし、有名な家系で女が男に化けるのは無理やろ…とかは突っ込みどころとしてはあるのですが、それはそれでフィクションとして受け入れましょう。
少なくとも声で違和感が出ないのは、漫画の強みですね。

本丸の料理うんちくも流石の水準

本丸の料理うんちくですが、そこは流石の一言で、お上手ですね。
疑問の出し方、解答の引っ張り方、種明かしの演出の全てが高水準でまとまっていて、毎話しっかりと楽しめます。

江戸時代テーマなので、これまでの料理漫画とちょっと外した内容になっているのも新しさが感じられて良いです。
(もしかしたら読んだことあるネタを忘れているだけかもしれませんが)

また、話の運び方も現代知識無双するのではなく、銀次の舌が非常に鋭敏で見抜く力に優れているから解決できる、という設定は良いですね。
現代知識はあくまでヒントで、最初の違和感や気づきは銀次の舌、というのがポイントです。

これで現代知識に重点が置かれた江戸パートだと、説得の過程の違和感が大きいですしね。

銀次が結構ぎりぎりのラインのキャラなのはアレかも

難点を挙げるとすれば、主人公の銀次が物語に緩急をつけるためとはいえ、若干アレなキャラクタという点ですね。
それは犯罪だろ…とか、そこでそんなこと言っちゃいかんだろ…みたいなラインを定期的に踏みに来るので、銀次のキャラがちょっと…というのはわからなくもないです。

同じように銀次の親友の平賀も銀次がアレなのを諌める役割なせいでちょっと嫌な発言も多く、現代人キャラは賛否がありそうです。

らーめん才遊記シリーズでもそうですが、なんとなくキャラの嫌なところが特に意図せず見える感じがあるのは、なんでしょうね。
作者は楽しんで書いていそうな感じもするのですが、読者の感覚と少し乖離がある印象があります。

全体

全体として、とても良い料理漫画に仕上がっていて良いですね。
ちょっと銀次のキャラが気になる部分はあるものの、他のキャラの魅力で十分カバーされていますし、メインの料理うんちくパートも面白いです。

最終的なオチとして江戸時代で平蔵さんと暮らすのか、平蔵さんと別れて現代で暮らすのか。いろいろ想像してしまうところではありますが、再開する日はあるんですかね…。
ラーメンハゲの話が終わったとしても再開しなさそうだよな…。