スキップとローファー9巻のだらだらっとした感想です。ネタバレ含む。引続きめちゃめちゃ良かった…。
みつみ&志摩くん部分について
思ったよりも寄り道せずに感情が進展した巻
7巻、8巻で氏家くんとか八色さんとか新キャラが出てきたのもあって、もう少し寄り道しながら進むのかなーと思いきや、「みんなでみつみの地元で海」という以前からフリのあった加速度の高い展開に。
当然のことながら、焦点は従来メンバー(というか主に志摩くん)に当たるわけで、志摩くんの感情が順調に整理されてしまいました。
いかせんべい…
志摩くんの脳内に流れるみつみからの好意の代表例が「落ち込んでいるときのいかせんべい追加」なのがいいですよね。
最後の場面、志摩くんが迎井くんの解説によって、「恋愛感情と人としての好感は全く別の概念ではなく、人としての好感の先にも恋愛感情がある」ことをようやく理解した結果、みつみの過去の好意が正しく自分に向けられた恋愛的好意でもあることを認識した、ということですかね(わかりづらい文章)。
そういう意味では、9巻冒頭の山田くんの「自分をカッコいいと言ってくれる女子を好きになって何が悪い」にもつながりますねー。
結局、7巻での志摩くんの気持ちは恋愛感情だったのか
恋愛感情は志摩くんの言うような「外形的な評価の積み上げ」だけではなくて、「好感の積み重ね」から始まるものでもあり、「好感の積み重ね」はお互いの「人として好き」から始まるものでもあるわけです。
つまり、「人として好き」は恋愛感情になりうるんですよね。
その点、志摩くんはみつみから「お前のそれは恋愛感情じゃねーよ」と言われて「やっぱりこの気持ちは恋愛感情じゃなかったんだ…」と真に受けていましたが、真相としては、ただただ志摩くんの恋愛感情の捉え方が狭すぎて、「人として好き」の気持ちを「恋愛感情」として発信できてなかっただけだったわけです。
志摩くんはちゃんと恋をしていたわけですね…。なるほど…(一人合点)
ふみの達観、わかる
恋愛面以外で9巻で印象的だったのは、みつみの地元の親友ふみのみつみへの感情ですね。
地元の「神童」の一番の友達ポジション、そら思うところが沢山あろうよ…。
みつみから見たふみはいつまでも殿堂入りの親友なんだけど、ふみから見たみつみは段々ちょっとずつ遠い存在になっちゃうんですよねー。
人間、どうしても才覚に差があって、どんなに仲が良くて近しい存在でも、才覚が大きい人間の方が行動範囲も人間関係も大きくなって、だんだん離れていってしまいます。
なので、自分より才覚が大きい人間がすごく近くにいると、ふみのような気持ちになりますよな。わかるよ。
一方で、みつみから「殿堂入りの親友」と言葉にされれば気持ちが変わっていないことは確認できるんですよね。
会ったり話す頻度が減っても、きちんと話す機会さえ作れていれば、その瞬間はその頃に戻れるのです。
それを飲み込んで理解しているふみは大人ですよね…。
そして、東京組(特に志摩くん)と比較しても、ふみはちょっと大人びた顔つきに描かれている気もしますね。
サブキャラまわり
迎井くん、影薄めだがなんだかんだ馴染んでる描写がいいよな
今回、恒例の男子組と女子組が一緒にみつみの地元に旅行したわけですが、迎井くんが思ったよりもずっと、あの集団の中で馴染んでいる感じが良いですよね。
まあ、1年以上友だちしてれば普通に馴染むのはそう。
迎井くんはいまのところ恋愛の芽は見えていないわけですが、ミカとの線は先々ありそうな感じですね。
ミカの恥部を知っているのは迎井くんぐらいですし、ミカをさらに掘ろうとすると、迎井くんを使うしかないような気もします。
いや、マジでありそうな展開やな…。
氏家くんの先々に波乱が予想される
「このままだとみつみに惚れてしまうのではー???」と思われていた氏家くんですが、意外なラインで恋愛感情が発生しました。
まあ、「自分と両想いになるのは解釈違いなんで」と言うぐらいなので、恋愛感情というよりは、憧れぐらいの感じなんでしょうが。
とはいえ、八色さんはまさしく目に見えた地雷なので、氏家くんの恋愛感情の先は穏当ではなさそうです。
この恋愛感情ライン、どう処理するんでしょうね。想像があまりつきません。
全体
8巻も結構急転直下でしたが、9巻もどうしてなかなかの揺れ動き具合で目が離せないすね。今回もめちゃめちゃ良かったですわ。
気持ちの整理がついてしまった志摩くんが一体どういう動きをするのかが見ものです。10巻早く欲しいですねー。