teke teke my life 読書記録置き場

漫画や小説、アニメなどの個人的な感想の保管庫。

風の大地、ちゃんと読んでみるととても面白いですな

最近、マンガワンアプリで風の大地を読んでいます。

よく言われる「1球打つのに1話かかるゴルフマンガ」「ポエムマンガ」という印象とは全然違い、通しで読んでみるとめちゃめちゃ面白いですね…。

特にまとまりはないですが、ゆるく感想を書いておこうと思います。

(ネタバレを伴います。有名漫画なのでネタバレもなにもないですが…)

プロテスト編までが特におすすめ

若手の成長物語でめちゃ面白い

プロテスト編まではオキタの成長物語なので、めちゃくちゃ面白いですね。
プロテスト合格後とは別の漫画のように展開がスピーディです。

オキタに喜怒哀楽があったころの話でもあり、この時代のオキタは「24歳」という年齢相応な感じがするキャラクタで、かなり印象が違います。
そりゃ、最初からゴルフサイボーグだと面白味ないですよね。

宇賀神さんの人間的な魅力よ…

プロテスト合格まででやはり外せないのは宇賀神さんの存在です。

宇賀神さん、死んでからのほうが出番が多くなってしまいましたが、まあ、オキタの心の中にそりゃ住み着くよな…という感じの頼れる兄貴分で、傑物感があります。

さすがにオキタ以外の立場が上の人まで「宇賀神さん…」扱いしているのは違和感ありますが、まあ、アットホームな職場なので、そんなもんかもしれません)

宇賀神さんがオキタにするアドバイスはメンターとしてあるべき姿という感じがありますし、若手に対しての手の伸ばし方としてもすごくいいですね。

オキタの精神性もあって、プロテスト合格前のオキタと宇賀神さんのやり取りは正しく育つ若手社会人感があってすごく好きです。

こういう風に率直に頑張っていた時期が俺にもあったのかもしれない…と思わさせられます。

宇賀神さんの死亡演出も最高なんじゃ…

宇賀神さんの死に際の演出もすごくいいですよね。

中禅寺湖のほとりでステーキハウス宇賀神の話をするシーンとか、すげぇ好きですよ。
最後まで夫が夫らしくいられるよう、気丈に振る舞う宇賀神さんの奥さんのありかたも泣けます。マジで良い嫁。

宇賀神さん本当に良いキャラでした。そりゃ延々と空から語りかけてくるよ…。

鹿沼の人々の善性の強さにホッとする

また、鹿沼の人々、全体的に善性が強いひとが多いのは特徴的です。

ライバル役の長谷川は嫌なやつなのですが、彼も別に悪い人では全然ないんですよね。さほど陰湿な邪魔はしてこないし…。

作者が意図的に栃木の方々をそう描いているんですかね。

プロテスト編以降も普通に面白い

プロテスト編以降は割とマンネリ気味ではあるのですが、オキタのゴルフサイボーグっぷりを眺めつつ、定期的な不幸イベントで驚きが来るので、ダラダラと読む分には普通に面白いですね。

全然、延々と読んでいられます。

不運イベントについて

不運第一号の落雷は正直ひどい

有名な不運イベントですが、不運1号である笠崎への落雷シーンはマジで唐突なので笑います。

落雷直撃でドライバーイップスってお前…。

プロ以降の唐突な不運は物語のスパイスとして必要なのか…?

その後も唐突な不運は続くのですが、少し無理筋でも波を起こさないとさすがにしんどいんでしょうね。

オキタの性能が高すぎるのもあり、周囲に問題を作らないと話に抑揚が付かないので、それはそれで仕方がないかなと思います。

不運の内容も、振り切っている分、逆に面白いですしね…。
いや、さすがに交通事故で突発的に人を殺されるとちょっとな…と思うところはありますが…。

まあ、同じ物語のスパイスでも、「上がってなンぼ!」みたいに催眠術でトローンするよりはいいんじゃないですかね
(しかもあの作品、作中で催眠術展開2回ありますし…)

全体

宇賀神さん講話を読んでいる感じはあるので、やっぱ良い意味でポエム漫画ではある

全体的に、ゴルフ漫画というか、宇賀神さんの講話を読んでいるような感覚はなくはなく、ポエムがメインというのはそうなんだと思いますね。

まあ、ゴルフはどうしても自分の内なるものとの闘いなので、他のスポーツ漫画よりも、ポエムがメインになるのは仕方がないところです。

オキタ以上の天才をポコポコ出しても、さほど面白くなるわけではないですし。時々ウォーレンとかと勝負するぐらいでいいんですよ。

(というか、まあ、たいていのスポーツ漫画も策で勝利をつかむタイプの話の作りでなければ、基本的には気持ちの部分で勝ち負けを見せるので、一緒かもですね。
その中でも、策が使えない分、ゴルフ漫画はポエム中心になりやすいのだろうと思います。)

また、意外と風の大地のポエム部分(最後のコマの話ではなく、登場人物の独白の話です)は中年になるとわからないでもないなぁ…と感じる部分があり、良質です。

「不幸な事故」と「主人公の天才的なパワープレイ」と「ポエム」が絶妙なバランスでミックスされているから、飽きずにポエムを読み続けられるんですよね…。
風の大地、その辺すげぇなーと思っております。

最新の全英編もなんだかんだ好き

全英編、キャディ問題で引っ張りすぎとか色々ありますが、新ライバルのリック・スチュアートがオキタの同格にもかかわらず、これまで作中で出てこなかった理由付けも上手ですし、なによりキャラ立ちが非常に良いですよね。

笠崎にリック・スチュアートが自分語りする話とか、動きが全くないのに超面白いですよ。キャラが強すぎる。

(そして、笠崎の英語力では話の半分も聞き取れていないので、次の話でようやく「コイツがあの有名なリック・スチュアートか!!!」となるのも超面白いし、虚無顔and寝巻きで出てくるオキタのコマもシュールすぎて面白いです。漫画としての強度がすごい)

しかし、リック・スチュアートとの決戦、ちゃんと終わるのかなぁ…。
リック・スチュアートの精神性とキャディのブロディとのポエティックな会話が好きなのでちゃんと読みたいですよ。