teke teke my life 読書記録置き場

teke teke my life別室その2。漫画や小説を読んだ感想の保管庫。

あせとせっけん作者の「テレワァク与太話」1巻完結の落ち着いた恋愛漫画でとても良かったのだ…!

最近、新刊の捜索力が弱ってきているので、いまさらになってからになってしまいましたが、あせとせっけんの作者(山田金鉄)の新作短編「テレワァク与太話」が非常に良かったので感想を記録しておきます。

善性しかない綺麗な恋愛漫画で読んでいて心地よい

「テレワァク与太話」は在宅勤務中心になった主人公(残さん)がひょんなことで隣人の美人大学院生(奈津さん)と知り合いになり、日常を重ねていくうちにお付き合いをし…という割とベタな恋愛漫画です。

キャラクタ造形は非常によく、主人公の残さんは少し暗めな性格ではありますが、極端に卑屈なわけではなく、好感が持てる人柄です。
ヒロインの奈津さんもカラッとした知的美女で押しが強いのですが、違和感のある押しの強さはなく、ぬるぬるっと距離感を詰めてくる感じが魅力的です。

主人公もヒロインも無難に善性が強く常識人な上で、ちゃんとキャラの雰囲気が立っているのが素晴らしいですね。どちらもキャラクタとしては100点!って感じです。
(奈津さんは150点ぐらいあるかも…)

「あせとせっけん」も割とキャラの善性が強く、常識人が多い傾向がありましたが、今作は登場人物がなおさら少ない(実質2人しか出てこない)のもあり、無難で綺麗な話が展開されるのが心地よくていいですね。こういうのでええんよ。

お悩み回がほぼないのは気楽でよい

恋愛漫画は物語の起伏を作らないといけないので、割と主要人物がコンプレックスを抱えていて、マイナス方向の感情をグッと出しつつも、それを二人で乗り越える…みたいな話がありがちなのですが、本作は短編なのもあって、お悩み回らしいお悩み回はありません。

一応、主人公がもんもんとする回はあるのですが、別にお悩みというほどの重さでもないので、恋愛のちょっとした機微の範疇ですね。

読者の自分の年齢もあるのでしょうか、一定の大人の恋愛においてあんまりお悩み回を見せられるとちょっとうーん、となってしまうところはあり、これぐらいの湿度の恋愛漫画の方が読みやすいし、読んでいて気持ちが良いですね。

余談ですが、「焼いてるふたり」の歳の差カップルの話がめちゃ好きなのですが、それも、ちょっとしたお悩みはあるものの、お互いに尊重しながら無難にお付き合いを続けていく感じが好みだからですね。

コンプレックスと対峙するのは「スキップとローファー」とかの学園ものだったり、新卒社会人ぐらいの年齢設定でやってもらえれば良いので、いい歳の大人はいい大人として過ごしてほしいすね。

ちゃんと性欲があって、自然体で描かれるのが好きすね

「あせとせっけん」作者の作品なので、当然のことながら性欲は健全にあるもの、として描かれるわけですが、やっぱセックスが当たり前の営みとして捉えられているのは好きですね。

実感として、そういう行為は恋愛の中では自然と存在しているわけなので、なんかあんまりにも性欲がないように描写されるのも違和感があるし、大人の日常生活の中でセックスが特別なものとして描かれすぎるのも違和感があるなぁ、というのは率直なところです。
なので、性欲の塩梅はこの作品ぐらいの感じがいいですよね。

大人なので合意が取れた場合に備えようとするし、当然ながらお互いに距離感を図ってそういう行為に向かって段取りをつけるし、別に多少のトラブルがあったとて、まあ普通に対応して一夜を過ごす。そうすね、って感じです。

まあ、「あせとせっけん」は流石になんというか「こいつらめっちゃ性欲強いな…」と思わされるぐらいの勢いがあったわけですが、じゃああいつらが特殊かというと、別にそうでもないような気はしてるんですよね。

やっぱ、みんな欲はあると思うし。社会人以上の恋愛であれば、途中にあるものだと思うので、まあその辺はちゃんと描いてもらった方が共感はできます。
(本番描写は不要で、朝チュンでいいんですけど、ムラムラッと燃え上がり始める瞬間は描いてもらってほしいところです。)。

しかし、長編ばかりになる中で、1巻完結は本当にありがたいですわね。

最近の悩みとして、日常漫画系で続刊が延々と出続ける、というのはあります。
作者にとっては長く続いて良いのだと思いますし、読者としても好きなキャラクターの話をずっと読めるので良いのですが、惰性で買い続けるのもしんどいので、ちゃんと終わって欲しい!みたいなことは思っちゃいますよね…。

個人的には、短めに5巻ぐらい、長めでも11巻ぐらいで一回完結して欲しいなぁ…みたいなところはあります。それはそれで、喪失感はあるんですけど、それぐらいの巻数なら自宅に置いておけるので…。

その点、本作はちゃんと1巻で完結してくれているので、それは本当にありがたいです。

いや、正直、この先の話ももっとみたいみたいなところはあるのですが、それはそれとして、やっぱ完結してくれるからこそ、良さをかみしめられるみたいなところはなくもなく。ありがたいですわね。
(同じ2人でスピンオフの結婚編を1冊ぐらい描いてほしいすね)