ハヴ・ア・グレイト・サンデー(1-4)/オノ・ナツメ
1-3巻まで購入していたのに、4巻完結が出ていたのに気づかず、放置していました。最近、いろんなものに乗り遅れてだめですね。注文してみたら、まだ初版だったので、「売れてないのか…」とちょっと悲しくなりました。
オノナツメの低等身シリーズらしさに満ちた作品
オノナツメ、就職活動でしんどいなーと思っていた時期に「LA QUINTA CAMERA ~5番目の部屋~ 」や「COPPERS」などに非常に癒された記憶があり、等身を少し落とした力の抜けたタイプのシリーズはとても好きですね。
台詞は尖っているのに、画で力を抜いているので、よりシンプルに伝わるというか。
(もちろん、「GENTE」などの等身が高いシリーズも好きなのですが、どうしても女性向けの色気を押しているようなところもあり、よりオノナツメ節を楽しめる上記のシリーズの方が好きだ、ということです。)
「ハヴ・ア・グレイト・サンデー」はタイトルや設定の通り、家族や友人関係との休日の中で、ちょっと幸せを見つける話なのですが、私はとても好きですね。
キャラクターがとても魅力的
主人公の小説家楽々居輪治(ささいりんじ)は「COPPERS」と世界観を共通するだけあって、兎に角、格好いいですし、それに対する引っかきまわし役の息子マックスは「LA QUINTA CAMERA」から出てきたようなポップなキャラクタで、斜に構え過ぎず、ポップ過ぎずのバランスが綺麗に取れています。
正直、話としてはネタがある限り出来る系の作品ではありますし、キャラクターも魅力的なので、もっと続刊が続いてほしかったところではあります。
(逆に、4巻で終わるので、物理的に保有しておくのが楽な作品にはなったので、時間が経過しても、本棚に残して置きやすいかな、とも思ったりはするのですが、やはり残念ですね)
素晴らしい作品をありがとうございました。
へうげもの(1-25)/山田芳裕
実は信長が切られるところぐらいまでしか読んだことがなかったので、読んでみました。いや、さすがにとても面白いですね。
数寄か武かで迷う姿が30代には考えさせられる
「本格的歴史長編ギャグ漫画」としても非常に面白いのですが、個人的には左介(古田織部)が「武」を取るか「数寄」を取るかで悩みもがく姿が中途半端に「出世」と「プライベート」で迷っているサラリーマン(自分を含む)とダブり、印象的で考えさせられました。
どこまで組織にコミットして出世を求めに行くのか、出世の先は見えてきている以上そこでの消耗戦は避けるべきなのか、というのは、本当に出世が出来る人以外はどこかでぶち当たる話であり、左介の姿を自分のように思った方も多いんじゃないですかね。
(まあ、左介が求める「数寄」は結局のところ先立つものがないと出来ない趣味なので、比較しづらいところはあるのですが)
どちらかというと、大学生や社会人になりたてぐらいの時期よりも、20代後半、30代ぐらいの自分の将来展望の先が見え始めるころに読むと、より刺さるのかもしれません。
「武」を捨てて「数寄」を取ることは中々できんのよな。「武」はそれが自分の生き方のメインでないとしても、やはりあると捗るものではありますし…。
尚、大学生や社会人なりたての頃は、「キングダム」を読んで、「武」による成功を追い求める姿をインプットした方が、単純明快に面白いですし、自分の身のためになる気がします。
「数寄」にうつつを抜かすのは、中堅社員になってからでいいですね。