ギャルと恐竜(1~3)/森もり子
コミックDAYSで読んだ「ギャルと恐竜」がキラリと光る作品だったので、単行本を3巻まで購入してみました。
「ギャル」要素がどちらかというと最近の「オタクに優しいギャル」的なものを想起させるのですが、作品自体はどちらかといえば少女漫画的で、あまりギャルの可愛さみたいなところを見せる作品ではなく、とぼけた恐竜とのほのぼのとした日常を見せる作品です。
最近、日常系の漫画はなんでもアニメ化してしまうので、アニメ化していても、という作品も多いのですが、この作品は非常に良いですね。
作画自体は表紙の通り、さほど高いわけではないですが、変に崩れないので安定的に読めますし、そもそものキャラクタの愛敬があるので、これで十分ですね。
恐竜との日常、というネタでどこまで面白さが持続するか、という点が心配になるのですが、1話1話の完成度が高く、しっかりと話を落としてくれます。
ギャルと恐竜を取り巻く人々は非常に善性の強いキャラクタばかりで、かつ特に深刻な事情が明らかになるわけでもなく、淡々と幸福な日常が続いていきます。
その点、非常に安心感があり、読んでいて心地が良いです。
最近の作品で近い作品で言うと、「姫様“拷問”の時間です」などが近いでしょうか(あちらは作画レベルも非常に高いですが)。
最近の漫画は長期連載しがちなのもあって、特に読者を引っ張る要素のないこの作品がどこまで面白さが持続できるのか少し心配になる部分はありますが、しばらく追いかけたいですね。
映像研には手を出すな!(1~4)/大童澄瞳
いまさらながら、「映像研には手を出すな!」を購入し、読んだのですが、素晴らしい作品でした。
大まかに言えば、クリエイターとしてそれぞれ高い能力を持つ2人をマネージャーとして高い能力を持つがマネージメントして、作品を制作していく、という話です。
クリエイター2人の熱情に共感できるところもあれば、敏腕マネージャーである金森さんに共感できる部分もあり、非常に面白いですね。
クリエイターの2人と違ってマネージャーである金森さんはあくまで付加価値を生み出す側ではなくて、成果を出す環境を整えたり、正しく発表することで、求める人に届ける立場なので、自分のようにどちらかというと虚業側の仕事をしている人間にとっては、金森さんのような立場のキャラクターがいると、とても感情移入がしやすいです。
3巻の「私が好きなのは金じゃなくて、利益を出す活動です」「金は価値を扱いやすくしたものです」という金森さんの台詞は、彼女の思想を象徴する、非常に良い台詞ですよね。
メンバーの尻を正しくたたき、環境を整えていく金森さんの姿を見ていると、マネージャーがすべき仕事というのはこういうことなのかな、という気がしてきます。
(映像研メンバーはそこまで人格的な問題があるメンバーがいるわけでもなく、能力が不足するメンバーがいるわけでもない(むしろ、正しく動いてくれれば、非常に高い成果を出してくれることが確定しているメンバーしかいない)ので、実際の現場と比較すると極めて動かしやすい状況ではあるような気はしますが、)
巻が進むにつれて、現実と想像が混在しすぎてどう解釈すべきなのかわからないシーンが増えてくるのがちょっとアレですが、有能なマネージャーとクリエイターの描き方が見事で、引続き楽しみな作品ですね。