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白銀の墟 玄の月(十二国記)の感想。さすがにちょっとこれは冗長すぎるのでは…。

白銀の墟 玄の月(1-4)十二国記/小野不由美

十二国記シリーズの最新作だが、かなりイマイチ…

「十二国記」シリーズの最新作「白銀の墟 玄の月(はくぎんのおか くろのつき)」をようやっと読みました(出てこない漢字を使われると困りますね…)。全4巻構成と結構な分量のわりに、やっていることは李斎が王を探す→いない→王を探す→いないの繰り返しで、正直、結構読むのがつらかったです。

王がどこにいるのか、阿選はなぜ反乱を起こしたのかなど、少しミステリっぽい立て付けではあるのですが、さほど意外性のあるオチが待っているわけでもなく、あー!それが伏線だったのか!という驚きもない展開で、長い分量に見合う解きほぐされ感がなく、消化不良感があります。魂魄を抜かれるのも、妖魔の仕業かい、という…。

なぜ「黄昏の岸 暁の天」でその様子を話したとき、他の国の麒麟が気づかないのか。麒麟が反逆に使われてた例が直近にあったわけだしさ…。あんなにヤバい妖魔がいるなら、だれか知ってるだろ、と率直に疑問に思います。整合取れてるのかな…?

ラストの小気味よさはあるものの、これで4巻使う?という感じ

絶望的な展開から、3巻までにまいた種が芽吹いて一気に巻き返していく流れは小気味よさがあったものの、キャラクタと一緒に種をまいていた感じはせず、裏で暗躍していたろうさんの意図も正直、この長編の中ではよくわからず、すっきりしないですね。

推察はできなくはないし、短編集で明かされるという予想が多いものの、いや、4巻使うなら、ちゃんと長編のなかで種明かししてもらわないと困る…という気持ちが先行します。ちゃんと締めてくれ…。

あと、「天」とは、というテーマを元に、ろうさんが暗躍していたとするのであれば、もっと、そこを深堀りしてほしかった、という側面もありますね。というか、4巻構成で最後の長編ということで、これまでの作品の流れからすると、そのあたりに焦点が当たるのかと思ってたら、全然そんなことなかったので、消化不良感がすごいです。

「魔性の子」など、過去作品からの流れを受けた発言や成長があったのは、ファンとしては喜ばしかったところなのですが、それぐらいのところで、この作品をひとに薦めるには、苦しいなーという印象です。

エンタメとしては正直面白くはない、かな

1~3巻って、1冊でなんとかならなかったのだろうか、と思うぐらいには、ただただ長いし、暗いし、読むのがしんどい割には得るものがありません。新しいキャラクタが多い割に、印象に残るキャラクタが極端に少ないのも、つらさに拍車をかけている気がします。

「十二国記」をファンタジーであり、どちらかといえばライトノベルの文脈にあるものとして読むか、歴史ものとして読むのか、というような読み方の立ち位置の違いによるものなのかもしれないですが、エンタメとしてはかなりしんどいです。めくる手が止まらない作品ではありません。

作者も年を取ったのかな…という感覚と、対象年齢を変えたのかな…という感覚。多少ご都合主義でも、もっと、驍宗が活躍するところをみたかった、と言うのが率直なところです。

期待すると失望感が強いかも

別に、面白くなかった、という感想をしたためる必要性はまったくないものの、同じように感じたひとがその感じ方で良いのかな、というのを確認できるようにしておくのは悪いことではないかな、と思うので、残しておきます。いや、だいぶ自分が求めていた内容ではなかったので、残念でした…。