ずっと読めていなかった「おとなりに銀河」を完結まで読んだので、簡単に感想を残しておきます。
前作の「甘々と稲妻」が非常に好きな作品で、雰囲気的に本作も好きだろうと思ってはおったのですが、中々購入するタイミングがなく、放置していました…。
電子書籍になるとこういう作品をパッと買いやすいのはいいですね。
雨隠ギドに期待するものが詰まっていたぜ
緩い空間でずっといちゃついているのがいいすね…
代表作「甘々と稲妻」のことりと先生の交流が好きだった人が求めているものは「おとなりに銀河」の中にもふんだんにあります。
というか、そこを煮詰めたものが置いてありますね。
頼りにならなそうな風体で芯が強い主人公と、ミステリアスな雰囲気の清楚系美女(イチャを求めてガツガツ行くタイプ)が清く正しい交流を全6巻にわたってしつづけるのはご褒美ですねぇ…。
本作のヒロインも「甘々と稲妻」のことりと同じような抜け感とpowerのあるキャラクタなので、このキャラクタだけで戦えますね
(そういう意味では、主人公がちょっとキャラが弱いのは難点ではあります。いや、別に釣り合わないとかでは全然ないですが)
禁じられていない関係のことりなんや!こいつは!
6巻がほぼafterパートなのはご褒美度高いすね
しかも、本作は5巻目でラブコメとしての終着点(プロポーズ)までほぼほぼ行っており、6巻はプロポーズ後~10年後ぐらいまでの期間の話が飛び飛びで描かれる形になります。
ラブコメでもっと食べたい!となる部分はだいたい完結後のafterパートなので、これは非常にうれしいご褒美ですね。
しかも、「だったら本編として続ければよかったじゃん」という感じのだらだら感もなく、きちんと「もう少し見たい!」ぐらいでとどめているのも◎です。
(最後の話で「仲直りックス」の話を出すのも、それを出すのは確かに最後のオマケ!って感じでいいですよね…。それを早めに出すと、「焼いてるふたり」になっちゃうし…(それでもいいんですが))
設定でとっつきづらくなってしまっているのは残念
因習島設定とか、SF要素は正直失敗感はある
一方で、「おとなりに銀河」のタイトルの通り、本作はヒロインの出自などにSF要素がありますが、そちらはあまりうまく機能していない印象です。
いや、話の起点としてはきちんと機能していますし、「この恋心は契約によるものなのか…?契約を解除したら恋が冷めるのでは?」みたいなドキドキも多少はあるのですが、話を必要以上に複雑にする弊害の方が出ている感じですね。
その影響が一番出ているのは1巻ですね。
もっと直球でぐいぐい話に入っていきたいのに秘密の開示に時間がかかるし、若干おなか一杯な感じになってきてしまいます。
特に2話3話はちょっと長いですね…。
2巻以降は良い点の方が勝っていくのですが、正直、入りの部分で読者をかなり失っている気がします。
(とはいえ、作中のヒロインの最初の作品に対して「設定がわかりづらい」みたいな評価を受ける話が書かれていたりするので、作者もその点は気にされているように思うのですが)
大家要素がもっと活きればなぁー
また、主人公は漫画家兼大家なのですが、正直大家設定はあまり活きてないですね。
家庭環境と因習島周りで集中してしまった部分もあるので、中々アパートの住民との交流にフォーカスが当たらず、また、フォーカスが当たっても現実的な関係性にとどまってしまい、広がりがあまりありませんでした。
舞台設定としての魅力はあったと思いますし、キャラクタも少ない焦点でも魅力はあったので、もう少し彼らを絡めた話が欲しかったですね。
求めたものは作品に存在したので大満足ではあった
というわけで、いくつかの要素がうまく使えていない印象があり、手放しで評価しがたい部分もあるのですが、「甘々と稲妻」の読者が求めていたものは120%あったので、満足感は高かったですね。
「甘々と稲妻」が大好きだった方は1巻のちょっとモヤっとする部分には目をつぶって、全巻まとめて読むのが良いのではないでしょうか。
しかし、作者の描きたい要素の一部(SFチックな要素だったり、家庭環境や経済環境からくる難しさ)と読者が求める「あまっちょろいラブコメが読みたい!」みたいなものとの食い合わせが悪く、離脱を誘発するので、難しさがありますね。
別に、それ自体を描くのが下手というわけでは決してないのですが…。
キャラクタの魅力は強かったので、「焼きたいふたり」みたいな方向で舞台や設定をもっと軽くしていたら、もっと続けられる作品だったのではないかなーと思わなくもなく、惜しいなーと感じます。