teke teke my life 読書記録置き場

teke teke my life別室その2。漫画や小説を読んだ感想の保管庫。

気が付いたら完結していた「のボルダ」4巻読み終わった(若干のネタバレあり)

「ぼくらの」で有名な鬼頭先生の「のボルダ」の続刊が出ているのと完結しているのにようやく気付き、読み終わりました。

最近の書店、本当に話題になっている漫画しか取り扱わないので、ふと生活に追われると飛ばしちゃいますよね…
(まあ、Webコミック雑誌の勃興で作品数自体が増えてるのもあると思いますが…)

「のボルダ」も「のりりん」もいいぞ

「のりりん」につづくゆるスポーツ漫画

「のボルダ」はボルダリングというスポーツを趣味の観点で焦点を当てた漫画です。

流れ的に実質的な前作「のりりん」と同じく、トップオブトップを目指すような競技スポーツとしての側面ではなく、生涯の趣味スポーツとしての側面に焦点を当てた作品ですね。

なので、全体的にはゆるい雰囲気の作品であり、最終的な到達点や目標が明確に示されてそこに向かって進んでいく、というよりは、日常の趣味の中でふんわりとした目標を置き、趣味スポーツとして楽しんでいく形です。

(とはいえ、「のりりん」は強制的に免停になる流れ、トドロキとの競争などなどストーリーラインは若干くっきりとしたものがありましたが、今作の「のボルダ」はもっとゆるい感じですね)

鬼頭先生のスポーツ趣味漫画好きなんよなー

で、鬼頭先生が描くスポーツ漫画、めちゃめちゃ好きなんですよね。

大人になると、そんなにぱきっとした競争をみたいときばかりではないし、趣味でないスポーツはやはり自分の延長線上には絶対にないので、漫画としての面白さはあっても、共感はあまりないわけです。

だからといって、かわいい女の子にまぶされた趣味漫画だと、それはそれで自分にとっては遠いもので、それはそれで共感がなかったりします。大人は生活があるんよ。「ゆるキャン△」は好きですが、これもまた共感はないんですよね。

その点、「のりりん」や「のボルダ」は主人公の設定や趣味に対する接し方も含めて、凄く共感しやすい設計になっていて、すごくいいんですよ。

どうしても、つい、趣味に対してメリットとか考えちゃうし、何が楽しくてやってるのか問うてしまうわけですが、そこをきちんと言語化して、描写しているのが非常に良いのですよね。

「のりりん」14巻の「ハレの世界」の下りとか、突き詰めて考えて言語化されていて素晴らしいですよ。何回読んでも何かを想起して共感しちゃうんですよね…。

日常にありふれたツールで自分の力だけでいつでも日常を逸脱し、ハレの世界に没頭できる。この単純な乗り物。それなのに、その魅力を言葉だけで伝えるのは難しい

(中略)

「ああ、なんて楽しい」

(そして、それまでさんざん「ボルダリングは〇〇です」をやった「のボルダ」のラストも「ボルダリングは楽しいです」なんですよね…。)

「のボルダ」4巻自体の話

結局、ストーリーらしいストーリーはないまま終わった

「のボルダ」自体ですが、結局ストーリーがあるようでないまま完結しました。
一応、3巻で新キャラが出てきたりはしたのですが、そこまで重要な役割があるわけではなく、ボルダリングの楽しさを表現する一要素として消費された感じです。

(「キラキラ」のあたりの話はすごく好ましいので、確実に出て来るべきキャラクタだったのですが)

なので、最初から最後までヤマらしいヤマはなく、「のりりん」よりもさらにあっさりとした作品でした。
まあ、作中で作者が作品制作の経緯を明らかにしているとおり、もともとゆるいエッセイ漫画として構想していたものにキャラクタを付与して味付けしたものということなので、さもありなんという感じはありますね。

この辺は、「のりりん」よりももっとこう、読む人の評価が分かれる感じです。好きな作品だけど、面白い作品か、といわれると言葉に詰まりますね、「のボルダ」。

最終話の恋愛パートは遊びすぎでは

ボルダリング大好きだからデートの後にボルダリングをしに行くのはいいんですが、あんな神妙な顔で妙な会話の流れでデート後にジムに行く話をするな!
(後ろに「ご休憩」「フリータイム」「ご宿泊」の3段になってる看板があるのも狙ってるよなー。)

いや、もう明らかにくっつくのですが、それはそれとして、恋愛も描くならきちんと締めて欲しかったところではありますね。

のりりんもそうなのですが、直接的に描かないのはいいんですけど、それで軸の一つに置かれると若干もやぁっとするところはあります。描かれきらない。

全体

まあそんな感じで、好きな漫画でありつつも、めちゃめちゃおすすめ出来る漫画というわけではない「のボルダ」ではありましたが、マイナースポーツ趣味漫画としては相変わらずきちんと正面から描いている作品で、ぼくは大好きですね。

「のりりん」(作中では「ちりりん」)も全然売れなかった漫画、と作中にぼやきがありましたが、引き続きこういう漫画を描いて欲しいところです。
たぶん、次回作とかで「ラーメン再遊記」みたいな流行り方もあると思うんよなー…。