水曜日のシネマ(1-5)/野原多央
初作品なのに非常に高品質
「水曜日のシネマ」はコミックDAYSに連載されていた作品で、既に完結している作品です(全5巻)。連載開始したころに、ちょろっとみたかもしれないなーという覚えがありますね。
画力はかなり高く、女の子は可愛く、おじさんはかっこよく(でも、おじさんの枠を超えず)、おねえさんはきれいで、読むにあたって気になるようなことはありません。この作者でほかに販売されている作品がないというのが正直信じられないぐらい綺麗にまとまった高品質な作品です。
歳の差カップルものながら、キャラ設定が無理がなくて良き
話としては、主人公の女子大生藤田さん(18)が、バイト先のレンタルビデオ店で店長(42)と映画を見るなかで、映画の魅力と、店長の人柄を知り、店長に恋をする話です。
「恋は雨上がりのように」を彷彿とさせるので、設定だけ見て、「恋は雨上がりのように」を思い出して、読まなかったひともいるんじゃないかなーと思います。
(なお、ぼくは「恋は雨上がりのように」のラストには肯定的です。ただ、10巻もかけてやることではないな、とは思いますが)
ただ、「恋は雨上がりのように」とは違って、店長は一般的に見て、相応に魅力的な大人の男性で、主人公の藤田さんも、女子大生なだけあって、精神的に安定していて、カップルとして見やすい点で、大きく違いますね。
要するに、この二人なら、幸せになれるよね!!という感覚が得やすく、万人に受入れられやすい構造をしていると思うのです。またおっさんとの恋愛ものか…と思わずに、読んで欲しいところです。
(正直、「恋は雨上がりのように」は、店長の能力値が低い&あきらがこどもすぎで、仮に二人がくっついたとしても、「恋風」のような先のなさがあり、店長が身を引く以外の結末に幸福がないんですよね…)
映画愛が伝わる表現も良いですね
主軸である、「映画」についても、作者が非常に映画という媒体が好きなのが伝わってくる作品で、各所で共感できる描写・発言があります。
ぼくは、映画館にあまり行かないし、映画という媒体は拘束時間が長いのでそんなに好きではないのですが、それでも人生の瞬間瞬間で影響を与えられた映画というのはありますし、店長の発言は、どれも「わかるー!」という感じでした。
映画というものに限らず、エンタメを主食として生きているならば、共感できるような内容だから、というのもあるのかもしれないですね
ヒロインの藤田さんがめちゃくちゃ可愛いんすわ…
ただ、何よりも、本作の主人公の藤田さんがめちゃくちゃ可愛い、というのが、本作の一番の突き刺さったポイントかもしれないです。
藤田さん、文化系男子が欲しい女の子の要素を塊にしたようなキャラクタで、ふんわりと可愛く、きつい性格ではないものの弱い部分を見せるとちゃんと支えてくれて、好きなことを語るひとを肯定的に見てくれるというパーフェクト超人なんですよねー。つよすぎる。3巻の表紙とか、こんなん、店長も年甲斐もなく惚れちゃうよねー!!という感じです。
少し、恋愛パートなどには、ありきたりな部分はあるのだけれど、藤田さんだけで500点ぐらい稼いでる作品で、僕の中では100点満点中120点の作品でした。