teke teke my life 読書記録置き場

teke teke my life別室その2。漫画や小説を読んだ感想の保管庫。

きのう何食べた?23巻の感想。実質最終回では…(ネタバレあり)

「きのう何食べた?」の最新刊が発売されたので、感想をパーッと書いておきます。

今回は重大なネタバレが含まれるので、読み終わっていない場合は先に読んでいただいたほうが良いかと思います
(通常はネタバレもなにもない漫画なのですが、重大なイベントがあるので…)

シロさん還暦…!?の衝撃

帯を見て衝撃を受けたのですが、シロさんこの巻で還暦を迎えます。正直、読者としてもどう受け止めていいかわからんですよ、これ。

そりゃほぼリアルタイムで歳をとっており、15年以上連載しているのだからそりゃ還暦にもなるわけですけど。いやー、ショックでかい。

何よりも自分の加齢を自覚させられるのがすごい。おれ、これ読み始めたとき大学生とかか。

長年読んでいる読者からすると、40歳前半ごろのまだとげとげしていた筧史朗がとはいえまだ認識があるわけで、そこからまあ年を取って成熟していっている姿をずっと見てきているとはいっても、いや60歳ですか…。

まあ、今の60歳ってこんなもんではあるのですが、それでも60歳ですよ…。あわわわわ…。

シロさん還暦祝いの爆弾よ

で、シロさんの還暦祝いをケンジが用意をするのですが、結構、というかかなり想定外の展開であー!そうくるのかー!!となりましたわ。

小日向さんとジルベールの結婚式の発言からして、何かしらの回収はなされる可能性はあったのですが、シロさんの性格などからしたら「まあないかな」という線であり…。

事前相談のないサプライズ結婚式、40代のシロさんならブチギレ、50代前半のシロさんでもまだ何となくお怒りになりそうですが、60代の成熟した精神のシロさんだと、このイベントも受け入れられるということだと思いますが、この点、キャラクタの物語に準じた変わり目を感じるところでありますね。シロさんも良い歳のとり方をしましたね。

また、これまでの関係性のあった人々がお祝いの言葉をそれぞれ伝えるシーンも長年付き添ってきた読者からすると感動を誘うものであり…。
いやぁ、よい話でした。

ケンジのスピーチの「20年間生活の基盤を整えてくれるというのはものすごい愛情」というのも良かったですね。我々はそれをずっと見てきたわけですし…。
ほぼ最終回ですな…これ…(実際、ドラマ版の最終回はこの話で決まりですよね…)

サプライズにしては大仰すぎる印象はあるけど

とはいえ、サプライズで「結婚式」はなんというか、どうなんだろう、という気持ちはなくはないのですが、小日向さんの結婚式でも明示的にパートナーとして明示していますし、結婚しているが結婚式は挙げていないぐらいのステータスではあるので、そこはそういうものなんでしょうね。

来ているメンバーも、両親とお互いのとても近い友人、職場の方ぐらいでごく少数ですし、小規模なパーティーの範疇ですしね。

悟朗くんの「学校で習ったし…」は解像度高いわね

あと、23巻の最後のコマで、小学生の悟朗君がゲイの2人の結婚式に理解を示すコマ、すごく現代的というか、解像度が高くてさすがやなーと思いましたわ。

子どもを育てていても、若い子の面倒を見ていても感じますが、10年、20年と時が経ってアップデートされた価値観というか常識は、教育を通して浸透していたりするんですよね…。

ぼくらの年代からすると、どこまでいってもLGBTに対して若干特殊な気持ちを抱いてしまう中で、「LGBTへの理解」という認識の上書きをしている感じではあるのですが、今の小学生は自然とその辺の話は学校で習うので、サステナビリティとかと同じように、自然と入ってくる概念ではあるんですよね…。

もちろん、だからといって偏見的なものがないわけではないのですが、ベースの出発点がだいぶことなるわけです。それはそうなんですよ。「学校で習ったし」はそうなんですよね。

教育の力は思ったよりすげぇんだよなーと最後のコマを観ながら思ったりしていました。

連載開始した15年前の世界とはだいぶ違うんだよな。もう、きのう何食べた?1巻のノリで連載開始はできないだろうし。

いやぁ、ずいぶん歳をとりましたよ。シロさんも我々も。