最近おもしろいなーと思いながら読んでいる数少ない漫画の一つである「ガクサン」の感想です。
いや、ガクサン、学ぶという行為について、凄く直球で正面から対峙していて、すごく面白いんですよねー。
実写ドラマ化しやすそうな配置と設定だし、そのうち実写ドラマ化するんじゃないかなーと思います。
ガクサンの概要
学習参考書出版社お仕事漫画
ガクサンは名前の通り学習参考書関連出版社お仕事漫画です。
学習参考書の使い方から独学の仕方(あるいは独学の難しい点について)など、一般的な学びに関することが毎回テーマになり、物語が展開されます。
大筋のストーリーはあるものの、基本的には1テーマについて数話使って取り組んで、また次のテーマへ、という流れが主です。
なので、どこを切り取って読んでも読みやすい構造ですね。
最近流行った漫画でいうと、K2みたいな感じです(スーパー参考書編集者がギュッ!すると解決するのも構造としては似ている)。
スーパー参考書編集者(ダウン中)と火付け役女子という黄金パターン
参考書出版社に中途入社した女性社員「茅野うるし」が、元スーパー学習参考書編集者の「福山譲」とコンビとなり、お客さま相談係に寄せられた相談や日常の中で出会った悩みをズバッと解決していきます。
その道の素人だけど明るい頑張り屋な女性が「やれやれ…」モードの優秀なおじさんに火を付けてコンビで物事を解決していく…というのはなんというか黄金パターン感あっていいですよね。
いや、ポリコレ棒的にはきょうびちょっとアレな設定な気もしますが、こういうのがやっぱ読みやすいんですよ。
初期の美味しんぼの山岡さんと栗田さんみたいな感じですね。
(なお、うるしは見た目普通にかわいい設定で、単行本の表紙も男女セットで関係が深まっていく匂わせ感があったりはするのですが、福山とうるしの間の恋愛を意識させるパートみたいなのは実態としてはほとんどないです。この手のコンビものとしてはかなり少ないほうなんじゃないですかねー。)
↑最近の表紙でお互いを見ていたり、福山の目線だけ隠されていたりするのは匂わせ感すごいのですが
ガクサンの好きなポイント
ポジティブに学ぶという行為にフォーカスが当たってるのは本当に好き
ガクサン、「学習参考書」とそれに付帯する「学ぶ」というテーマに真摯に向き合っている漫画なのがすごくいいんですよねー。
いや、この手の漫画ってどうしても読んでいて浅い感じが否めなくなっちゃうところがあるんですけど、ガクサンはすごくうまく「学び方」みたいものを正しく解答として示せている感じがあるんですよね。
ぼくは基本的に独学派で、大学受験とかも塾に行ってはいたものの、山川の参考書n回やるみたいなので強引に突破した勢ですし、資格試験とかもほぼほぼ独学で取っています。
考え方としても、「生涯学習」という発想は大好きなので、ガクサンの解決編の内容は常に腑に落ちるんですよね…。ちゃんとしているー。
福山の設定がうまいんだよな
その中でいうと、福山の設定がすごく上手いんですよ。
- 特に環境に恵まれたわけではなかったが、学習参考書のおかげで独学で一橋大学に合格して道が開けたことが学習参考書Loveの根底にある
- 一方で環境に恵まれず、独学しか出来なかったがための世界の狭さにコンプレックスがある
- 現在の閑職に追いやられた理由も、間接的に環境に恵まれなかったための文化的な資本(コミュ力)の不足にある
というのが、キャラの深みを醸成する背景としてきちっとしていていいんですよね。
(最後のコミュニケーションに関しては、若干福山の気持ちに寄り添いすぎの解釈かもですが)
そういうキャラが、解決役として「学習参考書による独学だけでもどうにかなる!」と言いつつも、「独学だけが正解なわけではない」とも言うわけですよ。
前者も後者も説得力が出てきますよねー。本当に良いキャラ設定。
あと、キャラデザインもバシッと決めるときにキマる眼鏡キャラでいいすねー。福山というキャラが出来た時点で勝ちですねー、これは。
うるしがふつうに可愛くて邪魔じゃないのもすごくよいですね
あと、本筋ではないものの、やはり絵柄がしっかりと女性が可愛らしく描かれているのは漫画の雰囲気を重くしすぎなくて良いですね。
とくに、主人公のうるしが嫌味なく可愛いのはすごくいいです。
いや、こういうコンビだと、どうしても火付け役の女性キャラが「それはどうなの…」って行為だったり、性格的に嫌な感じがあったりして物語にスッと入り込めなくなることが結構あります(ガリレオ2期の相棒とか…)。
その点、うるしに関してはそれがかなり、というかほとんどないんですよね。
(読み返してみて気になるとすると、1話~3話あたりは気になるのですが、最初の解決辺の6話以降はもうあまり気にならないです)
基本的にうるしの根本のキャラクタ特性が「誰かの頑張っている姿が好き」といったサポーター気質の設定なのが功を奏しているんでしょうねー。
本作の基本線は「テーマ」×「ヒーロー(福山)による解決」を繰り返しながら、徐々に福山が自分の傷を癒して戦線復帰する話なので、その本筋を変に邪魔されたりしないのはすごくいいんですよ。
全体
というわけで、「学習参考書」とそこから広がる広い意味での「学び」というテーマもすごく良いですし、テーマへの解答の出し方もすごく良いです。
加えてそれを演じるキャラクターの設定もすごく良い!という三重マルの漫画なので、今の推し漫画ですねー。マジで好きだわー「ガクサン」
いやー、これは絶対どこかでメディアミックスすると思うなー。そもそもの漫画の出来が良いし、福山とか概ね誰に演じさせても実写ドラマとしては成功するでしょ、こんなん。
(別にしてほしいわけではないのですが、好きな漫画は流行ってはほしいんですよね)
↑しかし、ガクサン、1巻のうるしを見ると、連載期間中にすごく画も良い方向に変化しましたよね。すばらしい。