スーパードクターKの続編であるK2がコミックDAYSで全話無料になっていたので、一気読みしました。
とはいっても、別に今回初めて読んだわけでもなく、前から継続して読んでいたので、ほぼほぼ再読だったんですが。
まあ、再読してもやっぱりクッソ面白かったので、ポイントポイントの感想記録しておきます。
こういう感情、結構すぐ忘れるので…。
(以下、若干のネタバレが含まれます。まあK2、そういう漫画じゃないのであまり問題ない気がしますが)
- 主人公交代をしっかり行えているのがすごくえらい
- 宮坂さんがどう見てもヒロインじゃないデザインなのにちゃんとヒロインでびびる
- 登場人物のプロ意識の高さが凄くて、なんか頑張らなきゃならんかなという気持ちになるよな
- とはいえ、最近のプロ意識が薄くてフワっとしている高品先生の話も割と好き
- 432話の「診断と診察」がめっちゃ好きなんすわ…
- ただ、やたら重大事故が発生する村や唐突に始まるカルト集団との闘いには若干困惑はする
主人公交代をしっかり行えているのがすごくえらい
本作は、序盤はKの影の一族である一人(新スーパードクターK)が主人公なのですが、気が付くと途中からスーパードクターKのクローンである一也が実質的な主人公のポジションになります。
序盤は前作のスーパードクターKが番号入りのメスを渡した、当時の医療技術では治療できなかった患者たちを救っていく流れがメインなのですが、Kのメスの話は自然とどこかに消え、高校編⇒医大生編⇒研修医編と一也メインの話で構築されるようになります。
(この辺、マジでいつの間にか主人公が変わっている)
これ、新スーパードクターKが主人公だと、どうしても話の広がりや舞台設定の自然さに制限が出てしまうところ、主人公を一也に変更した結果、色々なシチュエーションを描けるようになったので、非常に良い選択ですよねー。
もちろん、富永先生の帰郷パートなんかでそういう話も描けるんですが、どうしてもKが出ない話が続くのもアレだし、となっちゃうので…。
一也に軸をずらして、医大生・研修医といったステージの話を自然にやれているのは本当に構成の妙。
尚、一気に読んだりしていると、Kのメス全部回収し終わったんだっけ…?という気持ちになりますが、これ、話のタイトルだけだとわかんないんですよね…。たぶん、2本ぐらい回収できてない、はず…。
宮坂さんがどう見てもヒロインじゃないデザインなのにちゃんとヒロインでびびる
一也くんの高校編からのヒロイン宮坂さん、デザインはちんちくりんで有り体に言ってあまり可愛いキャラではないのですが(低身長・おかっぱ・メガネっ子という属性は兎も角)、キャラ付けとストーリー展開により、完璧超人系男子である一也くんのヒロインにふさわしいキャラになっているのにビビります。
強いメンタル・刺繍の才能由来の異常な外科技術というキャラ付けが上手いですよねー。
これで美人系キャラだと、確かに逆にちょっとなーとなるところなので、キャラのストロングポイントの盛り方がお上手ですわ。一也が彼女の芯の強さに惹かれるのはよくわかります。
一也×宮坂さん、めっちゃいいコンビなんすよねぇ…。
まあ、200話で去り際に「シカゴには行かないでよ…」と言うときの宮坂さんの女の顔は流石にあんまり好きではないのですが…
(この話以外は可愛らしさが強調された描き振りなんですけどねー。「数学のコツがわかった!Sになること!」とか言っているときの喫茶店のシーンとか、かわいいすよね)
登場人物のプロ意識の高さが凄くて、なんか頑張らなきゃならんかなという気持ちになるよな
K2、医療エンタメという触れ込みではあるのですが、読んでいると登場人物のプロ意識の高さに刺激を受けます。登場する医者の過半数がちゃんとした職業人なんですよね…。
まあ、医者という職業自体が、やりがいと報酬が見合っている、ブルシットジョブになりづらい数少ない職業ではあり、プロ意識に理屈を持たせやすい職業というのはあるのですが、やっぱ、みなカッコいいですよね。
職業の種類もあるのだとは思うものの、ぼくはあそこまでの職業的プライドというか、プロ意識は中々持てないところがあり、なかなか考えさせられます。
もうちょっとちゃんとプロ意識を持って職務に当たらんと行かんのかな…と思わせられますね…。いや、反省ですわ…。
特に、富永先生がKの修業中に大学病院に戻って活躍する話とか、実家を継ぐ話とか、「俺、モブ側じゃん…」という気持ちにさせられてマジで愕然としますよね…。本当にさー…。
尚、K2の人物、医者に限らずプロは基本プロ意識高めに描かれており、プロでない一般人であったとしても、おおむねちゃんと反省できるひとばかり出てくるので、人格者でないキャラを探すほうが難しかったりします。真人間しかいない…!!
(そのせいで、稀に出てくる難のある方の意外性がすごい。おまえ、病気も何もなくただ問題のある人物だったんかい!という…)
とはいえ、最近のプロ意識が薄くてフワっとしている高品先生の話も割と好き
プロ意識高い医療人ばかり出てくる反面、直近の研修医編で一也&宮坂さんとトレードでKの村に来た高品先生は、プロ意識から遠い、フワっとしたキャラクタとして意図的に描かれており、K2のメインキャラでは割と異色の存在です。
432話でも言及されていましたが、単純に技術が足りなかった序盤の富永先生などと比較すると「なんとなく医者になってしまった」度が高く、読んでても結構イラつくのですが、それはそれとして、高品先生のモチベの低さもわかるんですよね。
仕事に対して、真摯に向き合えてばかりかと言えば、そうではないよねー。わっかるー。
ただ、生来、どちらかといえば誠実な人間であれば、医者という職業(まあ、他の職業でも言えますが)にきちんと向き合うと、強い動機や使命感がなかったとしても、きちんと仕事に取り組んで、感謝されればうれしくなる、というのもそうなんですよね。
高品先生の話では、そういう「仕事ってそんなに使命感を持ってやんないといけないんだっけ?」「でも、仕事ってちゃんとやって感謝されると嬉しいよね。できることはやっていかんとね」という現代感覚に即した話が展開されているような気もしていて、思ったより好きになってきているところです。
実際、食うに困らない実家があって、なんとなく親のレールから外れるつもりもないし、別に努力も人並みに出来るし、人間としての誠実さもちゃんとあるけど、使命感も上昇志向やハングリー精神も持ち合わせていない、みたいな「甘ちゃん」はたくさんおるよなぁ…。
(というか、まさに自分なんかそうなんだけど…)
44巻のこの並びは若干違和感があるというか、高品先生、こんなキャラじゃないやろ…
432話の「診断と診察」がめっちゃ好きなんすわ…
高品先生絡みの話では、433話の「診断と診察」の診察とは?という話がめちゃめちゃ好きですね。
仕事の習熟のイメージが凄くわかりやすく解説されている話というか。
色々な仕事に通じる話ではありますが、そういう全体や細部のところでの感触を経験と知識でとらえて、正しい判断をしていくことでプロ度の発揮ができる部分はあります。
それをきちんと都度言語化していき、自分の血肉にしていくことで、徐々に仕事ができるようになるんすよね。
まあ、ぼくの業界の業務がよく医者に例えられるのもあり、この診察の描き方が腑に落ちるというのはあるのですが、すげぇ納得したんですよね。わかりやすい。
ただ、やたら重大事故が発生する村や唐突に始まるカルト集団との闘いには若干困惑はする
それはそれとして、Kの村、道路事情や地盤が悪いことをいいことに、やたらと重大事故が頻発するので米花町か?みたいな気持ちになります。
また、唐突にカルト集団が現れてはメインキャラが死ぬのとかはちょっとどうかと思わなくもないですが、まあ、些細な話ですね。
いや、どの話も好きなんですけどね…(刑事にはまた出てきて欲しいですわ)